ジェフティ 約束
「ああ、この先に西に向かう道があるんだ。最初の二股の道の右のほうを行けばラドナスさ」
 馬の足なら二時間ほどだそうだ。街の門が閉まる前にはなんとかたどり着けるかもしれない。
 二股に分かれた道という言葉がラルフには引っかかる。シェシルは大丈夫だろうか。
「近いところにある街はそこだけなのか?」
「ここはもうコドリスとの国境も近いから、街はラドナスだけだぜ。ここからアロフなんかの国境を越えるための商人とかが一斉に集まるから、街は大きいし賑やかなのさ」
 それならば、シェシルも間違えないだろうと思うことにした。大きい街ならば、身を潜めることもできるだろうし。

 ふと、そのみすぼらしい身なりの少年を見て疑問がわいてきた。なぜ、街から離れたこんな場所で一人でいるんだろう。
「なあ、ところでなんでこんな場所にいるんだよ」
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