ジェフティ 約束
 巫女姫は村を出たとたんに泣き止み、それ以来ずっとアスベリアを見つめている。
 ――なんだ、この子供っぽさの微塵も感じられない態度は。
 この子供は薄気味が悪いと、テルテオを出発して以来ずっと思っていた。籠の中から、言い知れぬ威圧と、こちらの心の内を見つめられているような、胸の奥がちりちりとしびれるような感触すらする。
 ――いつまでも泣かれていたら、こっちの身がもたないか。
 ありがたいとでも思ったほうがいいのかもしれないなと、アスベリアは改めて思い直すことにしたのだった。

「いえ、特に。何かを感じられたのですか?」
 アスベリアは勤めて冷静に振舞おうとした。なにせ、伝説にも登場する神の使い、五百年に一人の存在だ。どんな能力を持っているかも分からない。
< 174 / 529 >

この作品をシェア

pagetop