ジェフティ 約束
「私を手にしたところで、戦争が終わるわけではないわ」
「……ああ、その通りだ」
彼女は分かっている。こんな幼い少女でさえそのことに気が付いているのだ。争いは、人の心が生み出すもの。疑心と欺瞞(ぎまん)と偽りと裏切りが、憎しみを凌駕(りょうが)して命の削り合いへと人間を駆り立てていく。
巫女姫を手に入れたとしても、領土の拡大を企む両国の折り合いがつかなければ、戦争が終結することはないだろう。
シンパ国を巡る争いも、まだ水面下ではくすぶっているような状態だ。ザムラス国王は今でもシンパを取り戻し、ルステラン王家のイザフス帝の機嫌を取りたいと思っているのだ。
南部の四国同盟もどう動くか知れないし、オスベラス領の内紛もまだまだ鎮圧されたとはいえない状況なのだ。
争いはこれから先もなくならない。それならば自分はどうあるべきなのか。アスベリアはソファーの上でまどろみながら、一瞬湧き上がった心の底の思いを掴み取ろうと手を伸ばした。
「……ああ、その通りだ」
彼女は分かっている。こんな幼い少女でさえそのことに気が付いているのだ。争いは、人の心が生み出すもの。疑心と欺瞞(ぎまん)と偽りと裏切りが、憎しみを凌駕(りょうが)して命の削り合いへと人間を駆り立てていく。
巫女姫を手に入れたとしても、領土の拡大を企む両国の折り合いがつかなければ、戦争が終結することはないだろう。
シンパ国を巡る争いも、まだ水面下ではくすぶっているような状態だ。ザムラス国王は今でもシンパを取り戻し、ルステラン王家のイザフス帝の機嫌を取りたいと思っているのだ。
南部の四国同盟もどう動くか知れないし、オスベラス領の内紛もまだまだ鎮圧されたとはいえない状況なのだ。
争いはこれから先もなくならない。それならば自分はどうあるべきなのか。アスベリアはソファーの上でまどろみながら、一瞬湧き上がった心の底の思いを掴み取ろうと手を伸ばした。