ジェフティ 約束
 馬から降りて、手綱を引きながら街の中へと入っていく。
 街の門の脇に宿屋があり、馬番の男が、食べかけの緑色のりんごを片手に眠そうに腕を組んで壁に寄りかかっている。道端に机といすを引っ張り出した男たちが酒を飲み交わしながらチェスをしたり、飯屋の前でグラスを片手に歌を歌ったりしていた。
 ラルフは口をぽかんと開けたまま、ただただその騒がしさに見入っていたが、横からインサが荷物に注意しろよとたしなめた。馬の背に括り付けていた荷物を鞍の前へと乗せ直し、ラルフたちは再び街の中を歩き始める。
 シェシルと再開したとき、荷物を盗まれたなんてことになっていたら、間違いなく殺されると、安易に想像できた。
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