ジェフティ 約束
 新しいマントに身を包み、表通りを歩くラルフたちを、もう誰も不審な目で見なくなった。
「さっきはありがとう!」
 と、洋服やら石鹸やらを購入した店の主人も笑顔で語りかけてくる。
 怪訝な表情をするラルフにシェシルは苦笑した。
「人なんて、そんなもんなのさ。見た目が傭兵じゃなかったら、中身は変わっていなくたって本質はもう見えやしない」
 アフィシオンの店主マスターブリッシュも、さっきとはうって変わって涼しい顔で二人を店に迎え入れた。

 多分これから辛いことはたくさん起こる。このままいつまでシェシルと共に行動できるか分からない。
 きっといつか、別れは必ずやってくるのだから。ジェフティを取り戻す自分の目標に、シェシルが付き合ってくれるつもりでいるのか、そんなこともまだ想像もつかなかった。
 だけど、今はこのままで、もう少し自分が成長する姿をシェシルに見届けてもらおう。またそんなことを言うと、ごちゃごちゃ言うなといいながら、シェシルは照れるだろうが。
 ラルフは、その照れて可愛い仕草を見せるシェシルを想像して、思わず笑みがこぼれた。
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