ジェフティ 約束
第3章 変心の夜更け
 馬車の車輪が、道の小石を踏んだだけで左右にごとごとと音を立てて揺れ、馬車を支える車軸がぎしぎしと騒々しく、気持ちをもやもやとかき立てる音を発し続けている。
 国王軍の進軍は続き、アスベリアは草原地帯を抜けてサンダバトナに入った。サンダバトナはノベリアの穀倉地帯として発展し、街の外には、農場や果樹園、牧場が広い範囲にわたって拡大していた。
 街の中央には荘厳な大聖堂の塔がそびえ、周囲を商業施設がぐるりと取り囲んでいる。そのほとんどが、穀倉地帯で収穫した野菜や穀物、肉類などを地方から仕入れに来た商人や、管理をしている役所などの建物だ。また、この辺りは貴族たちがのどかな避暑地として利用するため、別邸などが建てられている。
 街の外周部分には、ノベリア軍の駐留施設が建ち、この街がノベリアにとって重要な位置付けにあることをしめしていた。

< 231 / 529 >

この作品をシェア

pagetop