ジェフティ 約束
男は微笑んで少女の顔を覗き込んだ。
優しげな面立ちの、穏やかな話し方をする初老の男である。厳しい戦場を生き抜いたもの特有の、人を寄せ付けないような雰囲気は感じられない。その白髪と同じように歳を重ね白くなってしまった口元を覆うひげが、その男の人生の気鬱も侘しさも、虚労ですら覆い隠してしまったかのようだった。目じりに刻まれた深いしわが、男が重ねた年月の長さを感じさせる。一見しただけでは、その男が人生の大半を戦場で過ごしていた兵士だとはとても思えない。
義足をつけた片足を引きずりながら近づいてきたその男に、アスベリアは少女を預ける。
「エド、巫女姫を頼む。外には出さないよう閉じ込めておかなくてはならないが、できるだけ快適に過ごせるよう取り計らってくれ」
男は何のためらいもなく少女の手を取り、アスベリアにも笑みを向けた。
エドと呼ばれたその初老の男は、アスベリアの身辺の世話をするために雇われている元兵士だ。まだアスベリアが一介の下級兵だった頃から、エドには世話になっていたが、階級が逆転してからも世話係として自分についてもらっている。今では主従の関係であるが、昔は戦場で命を助けられた恩もアスベリアはエドに対して少なからず感じていた。
優しげな面立ちの、穏やかな話し方をする初老の男である。厳しい戦場を生き抜いたもの特有の、人を寄せ付けないような雰囲気は感じられない。その白髪と同じように歳を重ね白くなってしまった口元を覆うひげが、その男の人生の気鬱も侘しさも、虚労ですら覆い隠してしまったかのようだった。目じりに刻まれた深いしわが、男が重ねた年月の長さを感じさせる。一見しただけでは、その男が人生の大半を戦場で過ごしていた兵士だとはとても思えない。
義足をつけた片足を引きずりながら近づいてきたその男に、アスベリアは少女を預ける。
「エド、巫女姫を頼む。外には出さないよう閉じ込めておかなくてはならないが、できるだけ快適に過ごせるよう取り計らってくれ」
男は何のためらいもなく少女の手を取り、アスベリアにも笑みを向けた。
エドと呼ばれたその初老の男は、アスベリアの身辺の世話をするために雇われている元兵士だ。まだアスベリアが一介の下級兵だった頃から、エドには世話になっていたが、階級が逆転してからも世話係として自分についてもらっている。今では主従の関係であるが、昔は戦場で命を助けられた恩もアスベリアはエドに対して少なからず感じていた。