ジェフティ 約束
 グラスの中の血のように赤い酒がゆらゆらと揺れ、そこに写るアスベリアの端正な顔立ちをゆがめさせる。
 窓から切り取られた空を見やると、夕刻の情熱的なルビー色の雲がたなびき、夜の気配忍び寄るサファイアブルーの中へと、その情熱を置き去ろうかといているかのように一線延びていた。
 こういう色をした夕刻は、郷愁が胸をよぎるものだ。
 短くため息を吐いた。その郷思こそが彼の罪。

 ――きっとあの双眸を見たからだ。
 アスベリアはジェフティのアメジストに輝く美しい瞳を思い出した。
 物語に聞く、悪魔の特徴と酷似した瞳の色。奥底にうごめく罪が抉り出され、お前はその罪ゆえに地獄の業火に焼かれるがよいといわんばかりに、それは光り輝いていた。
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