ジェフティ 約束
■それは幻想か、本心か
サンダバトナの街を出発して七日間、ずっと雨が降り続いている。雨季に入ったのだ。
――出来ることなら、この時期の進軍は避けたかったのだが。
アスベリアは馬車の窓からどんよりと分厚い雲に覆われた外を見上げた。日が昇っている間は小雨程度なのだが、一旦日が沈むと激しく大地を叩くような大粒の雨に変わるのだ。今年は雨季に入るのが例年より早い。
特に、アスベリアはオルバーへと続くこの山道を気にしていた。なんといっても、今やこの隊には余分なお荷物が付随している。ナーテ公の一団だ。これさえなければ、もっと急いで進軍することもできたのに。
国王軍の黒々とした隊列の後ろに、冗談だろうと言わんばかり、真っ白に塗りたくられた馬車の一団が続く。
それもその一団が、ことあるごとに前方へ伝令をよこし、アスベリアたちの足を止めるのだ。その伝令のほとんどが、たわいもない文句ばかり。アスベリアは心底うんざりしていた。
――出来ることなら、この時期の進軍は避けたかったのだが。
アスベリアは馬車の窓からどんよりと分厚い雲に覆われた外を見上げた。日が昇っている間は小雨程度なのだが、一旦日が沈むと激しく大地を叩くような大粒の雨に変わるのだ。今年は雨季に入るのが例年より早い。
特に、アスベリアはオルバーへと続くこの山道を気にしていた。なんといっても、今やこの隊には余分なお荷物が付随している。ナーテ公の一団だ。これさえなければ、もっと急いで進軍することもできたのに。
国王軍の黒々とした隊列の後ろに、冗談だろうと言わんばかり、真っ白に塗りたくられた馬車の一団が続く。
それもその一団が、ことあるごとに前方へ伝令をよこし、アスベリアたちの足を止めるのだ。その伝令のほとんどが、たわいもない文句ばかり。アスベリアは心底うんざりしていた。