ジェフティ 約束
 こうして二人でいる時間、会話はほとんどない。時々アスベリアが話しかけるだけだ。しかしそれでも、巫女姫の存在、意志というものをアスベリアの心が感じることがある。実際に指先でそっと触れたような、そんな感触。何も隠せない、何も抗えない、そう、心の中の想いが溢れかえってくる。息苦しいまでの衝動が、巫女姫の指先で引きずり出される、そんな時は必ず巫女姫がこちらを見つめているのだ。あのアメジストに輝く双眸で、何もかもが白日の下に晒されてしまう。
 ジェフティは恐怖など微塵も感じてはいない。もしもアスベリアが喉元に短剣を突きつけても、その瞳の輝きは衰えることなどないような気がした。

 ――オレを駆り立てているのか。
 アスベリアは心の中でつぶやいてみる。ちらりと目線をやると、紫色の強い輝きがアスベリアの心の奥へとするりと入ってきた気がした。
 ――何に……。
 一瞬湧き上がった想いが、自分の体を瞬時に包み込む。
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