ジェフティ 約束
しかし、オスベラスとの戦いに赴こうと戸口に立ったエドに、シェアナはいつもとは違う言葉を投げかけた。
「もしかしたらもう、もう……、あなたが帰らないかもしれないって、どんな時も思い続けて、待ち続けるのが辛いの……」
子供ができたとき、――あなたの分身だからもう寂しくはないわ――と言っていた、あの嬉しそうな笑顔はもうどこにもなかった。
なぜ、気がついてやれなかったのか。悔やんでも悔やみきれない。
シェアナは、子供を亡くした罪悪感に囚われ、自分自身を責めその思いに苛まれていたというのに。エドはそれを感じ取ることもできず、いつもと同じようにシェアナを一人残したまま家を出てしまった。
戦争に出かければ、それなりの報酬を得ることができた時代だった。体の弱いシェアナに、辛い畑仕事をさせなくても楽に暮らせる位の生活を与えてあげたかった。しかし、エドはシェアナがそんな生活よりも欲しがっているものがあるという事に気がつかなかったのだ。
子供を喪ったシェアナの為に、オスベラスで孤児になっていた男の赤子を譲ってもらい、長い戦いも勝利を収め、ようやく帰宅の戸についたエドを待ち受けていたのは、やせ衰え寝台から起き上がることもできなくなったシェアナの変わり果てた姿だった。
「もしかしたらもう、もう……、あなたが帰らないかもしれないって、どんな時も思い続けて、待ち続けるのが辛いの……」
子供ができたとき、――あなたの分身だからもう寂しくはないわ――と言っていた、あの嬉しそうな笑顔はもうどこにもなかった。
なぜ、気がついてやれなかったのか。悔やんでも悔やみきれない。
シェアナは、子供を亡くした罪悪感に囚われ、自分自身を責めその思いに苛まれていたというのに。エドはそれを感じ取ることもできず、いつもと同じようにシェアナを一人残したまま家を出てしまった。
戦争に出かければ、それなりの報酬を得ることができた時代だった。体の弱いシェアナに、辛い畑仕事をさせなくても楽に暮らせる位の生活を与えてあげたかった。しかし、エドはシェアナがそんな生活よりも欲しがっているものがあるという事に気がつかなかったのだ。
子供を喪ったシェアナの為に、オスベラスで孤児になっていた男の赤子を譲ってもらい、長い戦いも勝利を収め、ようやく帰宅の戸についたエドを待ち受けていたのは、やせ衰え寝台から起き上がることもできなくなったシェアナの変わり果てた姿だった。