ジェフティ 約束
 ラルフは礼を言いながら、大人しく腰のベルトに差してあった鞘へ収め、留め金をパチンと絞めた。
「それと、お前の剣の特訓もしないといけないな。さっき宿屋で見ていて、肝が冷えたぞ。ひどいなんてもんじゃなかった」
 シェシルの言葉に笑いが含まれている。ラルフは顔が赤くなった。
「う、ううるさいな!仕方ないだろう。必死だったんだし」
 ――こんな経験したことないんだ、当然じゃないか!
 ラルフはふて腐れながらも、胸のうちでは心なしか期待にむずむずする気持ちが沸き起こってきた。
 ――シェシルが稽古をつけてくれる。
 それだけで、ラルフは自分がとんでもなく強くなることができるのではないかと思えてしまう。そのくらい、ラルフにとってシェシルの剣技とは神業のように強く、真夏の太陽の光りのように眩しいものなのだ。
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