ジェフティ 約束
二人を乗せた馬は、ラドナスの北に広がる森へと続く小道に入っていく。小道といっても、テルテオの民が使っていた猟師たちが通う細い獣道だ。馬がどうにか一頭通れるほどの道幅しかなく、頭上は低く密に茂った枝葉が二人の額を打った。
少し森へと分け入ったところで、ふいにシェシルが馬の足を止め後ろを振り返った。
「……馬がこっちに来る……」
シェシルの潜めた声が、妙に生温い空気を抱き込んだ森の中で、重々しい緊張をラルフにもたらした。
シェシルは手で――お前はここにいろ――と制してから、音も立てず馬から飛び降りると、忍び足でもと来た道を身を伏せて歩いていった。ラルフの耳にも、近づいてくる馬の蹄の音が届いてきた。ラルフは馬のたてがみに顔をつけ身を伏せると、暗闇に木々の間から草原の方をじっと見やった。
どうやら、その馬の主は片手に小さなランプを下げているらしい。ラルフの見つめる木々の間から、その頼りなげなほど小さな明かりが暗闇の中で揺れていた。
シェシルは木の陰に隠れながらそれを待ち伏せた。徐々にその足音が大きくなってくる。ざりっざりっと石を踏む音が近くなってきて、フードを目深に被った馬上の人影を確認することが出きた。人影が、馬の足を緩めてゆっくりとこちらに近づいてくる。何かを探すような、辺りを見渡すしぐさをしながら、時折手に持ったランプを揺らす。
少し森へと分け入ったところで、ふいにシェシルが馬の足を止め後ろを振り返った。
「……馬がこっちに来る……」
シェシルの潜めた声が、妙に生温い空気を抱き込んだ森の中で、重々しい緊張をラルフにもたらした。
シェシルは手で――お前はここにいろ――と制してから、音も立てず馬から飛び降りると、忍び足でもと来た道を身を伏せて歩いていった。ラルフの耳にも、近づいてくる馬の蹄の音が届いてきた。ラルフは馬のたてがみに顔をつけ身を伏せると、暗闇に木々の間から草原の方をじっと見やった。
どうやら、その馬の主は片手に小さなランプを下げているらしい。ラルフの見つめる木々の間から、その頼りなげなほど小さな明かりが暗闇の中で揺れていた。
シェシルは木の陰に隠れながらそれを待ち伏せた。徐々にその足音が大きくなってくる。ざりっざりっと石を踏む音が近くなってきて、フードを目深に被った馬上の人影を確認することが出きた。人影が、馬の足を緩めてゆっくりとこちらに近づいてくる。何かを探すような、辺りを見渡すしぐさをしながら、時折手に持ったランプを揺らす。