ジェフティ 約束
「お供、しようと思ってさ」
「何だと!?」
 シェシルはインサの喉元に突きつけていた長剣を地面に突き立てると、我慢ならないとばかりにインサのフードを掴んで引きずり起こした。
「これ以上お荷物が増えるなんて冗談じゃない。元のねぐらに帰れ!」
 押さえ込んだ怒りに、瞳がぎらついている。ラルフはシェシルを止めようと腕に触れたが、シェシルはそれを振り払い、インサの体を地面に投げつけるようにして手を離した。
「私たちは遊びで逃げているわけじゃないんだぞ。命を狙われているんだ。さっきの騒ぎを見ただろう!退屈しのぎのつもりで軽々しく言うな!」
 しかし、それでもインサは引き下がらなかった。その場から立ち去ろうと背中を向けたシェシルの足首を掴むと、頭を擦り付けて連れて行ってくれと何度も繰り返し呟いている。
 先ほどの気軽さとは一転、その懇願には必死さがにじみ出ていた。
「ふん、話にならん。いくぞラルフ」
 ラルフもここで置いていくのはインサの為だと背中を向けた。そんな二人の後姿に、インサの言葉が飛んでくる。
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