ジェフティ 約束
あれが、砂漠の民の体術、メルタナン……。砂漠に住む体長二メートルは越すといわれる獰猛(どうもう)な狼ガイダをも倒すという、プリスキラ大陸最強の武術だという。
「ノリスはその頃から強かった?」
シェシルはふと笑みをこぼす。その瞳には懐かしむような優しさが潜んでいた。
「ノリスが?……さあ、どうだろうね。強かったんだろうと思うよ。剣を握ったときだけ流麗な身のこなしだった。まあ、私には真剣に剣術の手ほどきをしようなんて、これっぽっちも思ってなかったようだから、いつも体の力が抜けていたってことなのかもしれないけど」
流麗な身のこなし。
シェシルの体の動きは、まるで草の上をそよぐ風のように軽く滑らかだ。それは激しい斬撃の奥に潜む静寂のごとき狂気を思わせる。瞳の中にちらちらと揺れ続ける殺気。なぜ、そこまで強くあらねばならないのかと思うほどに。
「強いなんてのはね、あてにならないものなんだ。いくら技術を磨いたって、あっけなく命を手放すときもある。お前は戦うために剣術の稽古をしているというけれど、そんなもんじゃ強くなれないよ」
「ノリスはその頃から強かった?」
シェシルはふと笑みをこぼす。その瞳には懐かしむような優しさが潜んでいた。
「ノリスが?……さあ、どうだろうね。強かったんだろうと思うよ。剣を握ったときだけ流麗な身のこなしだった。まあ、私には真剣に剣術の手ほどきをしようなんて、これっぽっちも思ってなかったようだから、いつも体の力が抜けていたってことなのかもしれないけど」
流麗な身のこなし。
シェシルの体の動きは、まるで草の上をそよぐ風のように軽く滑らかだ。それは激しい斬撃の奥に潜む静寂のごとき狂気を思わせる。瞳の中にちらちらと揺れ続ける殺気。なぜ、そこまで強くあらねばならないのかと思うほどに。
「強いなんてのはね、あてにならないものなんだ。いくら技術を磨いたって、あっけなく命を手放すときもある。お前は戦うために剣術の稽古をしているというけれど、そんなもんじゃ強くなれないよ」