ジェフティ 約束
「焦る必要はないよ。それに、そればかりは私が教えてあげられることじゃない。自分で気が付かなくちゃならないんだ。今は、その決意を大事に持ってるんだよ。それは強さへの糧だからね」
 剣を握り続ければ、いつか必ずわかる時が来る。知りたくなくても、それが最も身を切るほどに辛いことでも、否応なく自分自身を傷つけても。
「前だけ見ていろ。なにものも見失わないように……」
 ――そう、その時に、もしも私がお前のそばから消えていても、お前はそれを乗り越えなくちゃならない、ひとりで。

 シェシルのつぶやきに潜ませた想いは、ラルフにはまだ届かない。しかし、シェシルの声音に溶け込んだ切なさは、ラルフの心にゆっくりと波紋のように広がるのだった。
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