ジェフティ 約束
 二時間もすると、インサは一人きりで関門から戻ってきた。ちゃっかりと何かを調達してきたらしく、背中に大きな荷物を背負っている。周囲を気にしながら、シェシルとラルフが待つ森の中へと慎重に歩いてくる。
「多分、怪しまれなかったと思うよ」
 インサは背中の重そうな荷物をシェシルとラルフの足元にどさりと下ろして、その場にしゃがみこんだ。
「重てえ……」
「なんだよ、この荷物は」
 ラルフは肥料袋を利用した、はちきれんばかりに膨らむ荷物の袋を見下ろす。
「姐さんの乗ってた馬の代金はこれさ」
 インサが懐から金の入った袋をシェシルに手渡す。
「な、ちゃんと間違いないだろう?」
 インサはちょっと上目使いにシェシルの顔色を伺うような視線を送るが、シェシルは金の入った袋の重さを手の中で確かめただけで、自分の荷物の中にそれを押し込めた。
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