ジェフティ 約束
 ダルクたちのマントから、ぼたぼたと雫が滴り落ち、足元にみるみる水溜りができていく。急いで森を抜けてきた為か、二人とも肩で息をしていた。ノリスが女性を抱え、用意していた寝台に横たわせるのを見ながら、ダルクは暖炉へ身を寄せ、マントを脱いで濡れた体を乾かし始めた。
「ラルフ、女の子のほうはどうなんだ」
 部屋の奥の寝台で、静かに横たわっている少女の方へとダルクは視線を移し、声を潜めてラルフにたずねた。
「婆様の話だと、体を暖めて休めばじきに目を覚ますって」
「そうか……、それはよかったな」
「あの女の人はどうなの」
 ノリスがぐっしょりと濡れたマントを脱がせるのを目で追う。女性は蒼白な顔でぐったりとしている。あまり状況がいいとは言えなさそうだ。
「間に合ってよかった。思いのほか雨が強く降り出したのには参ったが……。後は、婆様に頼むしかないだろう」
< 35 / 529 >

この作品をシェア

pagetop