ジェフティ 約束
「それは申し訳ない。いくらこいつが勝手に私たちについて来たとはいえ、責任は私にある」
 男たちはなおも苦笑しながら首を振った。
「いやなに、大したことはない。もう食料は我らの元に戻った。……ところで、旅人とお見受けするが、いったいどこまで行かれるつもりだ?」
 やけに礼儀正しい山賊風情。明らかに無理がある。
「オルバーまでだが、……この道で正しいのだろうか」
 シェシルの演技は続く。不安げな声色がやっぱり胡散臭いとラルフは思いながらも、ランプに照らされたぬかるんだ地面をじっと見つめた。
「ああ、このまま行けば街道に出るだろう」
「そうか……」
 その時、よく響く地を這うような声が、男たちの後ろから雨音の間をまっすぐに飛んできた。
「シェシル・デュルードか!」
 ラルフは一歩下がる。思わずマントの上から、腰に下げた剣の柄の固い感触を手のひらで確かめた。
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