ジェフティ 約束
その圧倒的なカリスマ性、おまけに当代きっての美貌を併せ持つとなれば、その足元へと集まる兵士の士気も自然と高まるというものだ。
アスベリアは、あの時の敵陣から沸き立った異常なほどの士気の高まり、陶酔に近いような一体感を思い出して背筋が寒くなった。あれでは、勝てる戦も押し戻されてしまうだろう。勝利に必要なものは、戦略と並び重要なその統率、一体感なのだ。
それほどの人物が後ろ盾の山賊風情か……。
アスベリアは状況を整理しようと勤めるが、どうにも体が動こうとしない。口の中が強い金属の錆のような酸っぱい味がし、吐き気がこみ上げてくる。悔しさがにじんだ。
――コドリス王の命令か。目的はなんだ……。
最初から、自分たちは狙われていた。アスベリアには確信があった。しかし、国王軍とはいえ、こんな小隊を襲っても利益はないだろう。ナーテ公は、たまたま偶然この隊に付属していたに過ぎない。そんな効果を狙ったわけではないだろう。ただ、ナーテ公に手を出したのは、相当な衝撃と火種を双方に生んだに違いない。それは不可抗力だ。
――目的は、やはり。
「ジェフティ、巫女姫か」
アスベリアはエドがどの辺りまで逃げ遂(おお)せたのか気になった。
アスベリアは、あの時の敵陣から沸き立った異常なほどの士気の高まり、陶酔に近いような一体感を思い出して背筋が寒くなった。あれでは、勝てる戦も押し戻されてしまうだろう。勝利に必要なものは、戦略と並び重要なその統率、一体感なのだ。
それほどの人物が後ろ盾の山賊風情か……。
アスベリアは状況を整理しようと勤めるが、どうにも体が動こうとしない。口の中が強い金属の錆のような酸っぱい味がし、吐き気がこみ上げてくる。悔しさがにじんだ。
――コドリス王の命令か。目的はなんだ……。
最初から、自分たちは狙われていた。アスベリアには確信があった。しかし、国王軍とはいえ、こんな小隊を襲っても利益はないだろう。ナーテ公は、たまたま偶然この隊に付属していたに過ぎない。そんな効果を狙ったわけではないだろう。ただ、ナーテ公に手を出したのは、相当な衝撃と火種を双方に生んだに違いない。それは不可抗力だ。
――目的は、やはり。
「ジェフティ、巫女姫か」
アスベリアはエドがどの辺りまで逃げ遂(おお)せたのか気になった。