ジェフティ 約束
「何が悪い。その八百年前、この大陸は一つの帝国だったんだ。誰が統一したって不可能というわけではあるまい」
 男の顔に戸惑いが広がる。
「何を馬鹿なことを。自分の器というものを弁(わきま)えたらどうだ。それとセオール殿下と何の関係が?お前の瑣末(さまつ)な夢など、セオール殿下には露ほども接点はない」
「それはセオールに聞いてみなくちゃわからんだろう。オレはただ、そいつに話しをしたいだけだ。ノベリアを捨てたオレがコドリスに行ったかといって何が悪い。そうだろう?」
「万に一つも可能性はない」
 男はため息をついた。
「いい加減、その馬鹿馬鹿しい夢は諦めたらどうだ」
 夢は自分で叶えなければ実態を持たない。諦めたら、全てはそこで終わる。己の命さえ絶たれるだろう。それほどの賭けだ。命を惜しむわけではない。その為に生きているのだ。
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