ジェフティ 約束
――オレは、いつか馬に跨る騎士になりたかった。
それは、子供の頃に抱いた夢だ。羨望や栄光、名誉、地位。貧しい村の農夫の息子だった自分。男だったら、誰だって子供の頃一度はそんな夢を見たはずだ。それは幼さゆえに、その姿かたちに憧れを抱いたにすぎない。ただ、格好良いと。
変化のない毎日。土にまみれ、大した農作物も収穫できない痩せた大地に鍬を振るう自分も、その自分の将来の姿であろう父の姿も、全てが嫌だった。ある日、鍬を捨て、故郷を捨て、家族から逃げ、自分はその手に剣を握ったのだ。
家族が雨粒を瓶に溜めるようにして貯めていた微々たる金を持ち出し、王都カリシアにアスベリアは向かった。罪悪感は無かった。自分は必ず認められると、根拠の無い自信だけがアスベリアを駆り立てていたのだ。
――十五歳。
野心が芽生え、自尊心が鎧のように己の身体を包み込んでいた。
それは、子供の頃に抱いた夢だ。羨望や栄光、名誉、地位。貧しい村の農夫の息子だった自分。男だったら、誰だって子供の頃一度はそんな夢を見たはずだ。それは幼さゆえに、その姿かたちに憧れを抱いたにすぎない。ただ、格好良いと。
変化のない毎日。土にまみれ、大した農作物も収穫できない痩せた大地に鍬を振るう自分も、その自分の将来の姿であろう父の姿も、全てが嫌だった。ある日、鍬を捨て、故郷を捨て、家族から逃げ、自分はその手に剣を握ったのだ。
家族が雨粒を瓶に溜めるようにして貯めていた微々たる金を持ち出し、王都カリシアにアスベリアは向かった。罪悪感は無かった。自分は必ず認められると、根拠の無い自信だけがアスベリアを駆り立てていたのだ。
――十五歳。
野心が芽生え、自尊心が鎧のように己の身体を包み込んでいた。