ジェフティ 約束
「ありがとう、泣いてくれて」
 アスベリアは首を振る。
 ――お願いだ!オレを傷つけてくれ!
「ありがとう、アスの手で死ねるならうれしい……」
 ルーヤの可愛らしい笑顔が、昔のままそこにあった。髪から滴り落ちるしずくが、ルーヤの顔にいく筋もの流れを作り、悲しそうな輪郭を作っているのに、ルーヤは幸せそうな笑顔でアスベリアを見上げている。
「ルーヤ、オレと……!」
 ――逃げよう。
 そう言おうとした。しかし、その言葉はルーヤの唇で封じられてしまった。柔らかくふわりとした感触が、アスベリアの気持ちを拒絶する。
「だめ、それはアスベリアが望んでいることじゃないもの」
 ――俺が望んでいることって、何だったんだ?
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