ジェフティ 約束
「……ジェイを、ずっと守りたいって……お願いした」
 テルテオの男の誇りは、弱いものを命を賭して守ることだと、小さい頃から教え込まれている。父ダルクやノリスの後姿を見て育ったラルフには、自然と体に染み付いている教えだった。
 ジェイはぱっとうつむき、小さな声でつぶやく。
「私も、……私もラルフを守る。厄災から」
「ジェイ?」
「約束よ、絶対私と離れたりしないで」
 顔を上げた少女の目は潤んでいた。
「大丈夫、約束するよ。ずっと傍にいる」
 ジェイはラルフの額に残る傷にそっと唇を寄せた。風にそよぐジェイの髪の香りは、その時、春のすがすがしい青い草の香りがした。
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