ジェフティ 約束
 春にまいた種が芽吹き、その背丈を伸ばして太陽を取り込もうと葉を茂らせ始めた頃、ジェイの母リリールは、すっかり体力も回復し村になじんでいた。
 ここテルテオには興味本位で近寄るものもなく、みな親切だった。
 ディルーベスの村を襲った悲劇は、リリールによってダルクに語られ、ラルフの耳にも入ってきた。

 隣国コドリスは、五百年に一度の神の降臨祭に生まれたディルーベスの子供を奪うためにやってきたという。
 降臨祭に生まれた巫女姫は、その身のうちに神を宿し、選ばれしものを天界へと導く力を秘めるもの。神の力に匹敵する力を持ち、人々を幸福へと誘う。
 その巫女姫こそが、ジェフティであったのだ。
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