ジェフティ 約束
「ところで、オレの名は知られているんだろうが、オレはあんたの名前を知らない」
馬車の明り取りの窓から差し込んできた光に、男の顔が浮かび上がってくる。昨晩松明の灯りに照らし出された男の顔は、恐ろしいまでの頑強で厳しい表情だったが、朝日に照らされた今の表情は、どこか柔和で思慮深さの感じられる顔をしていた。自分よりも幾分か年をとっているのではないかと思わせる。
「……セオール様の侍従、サルフェイ=スヴィテルだ」
アスベリアの記憶に、その名前はあった。コドリス貴族スヴィテル家という冠を背負っている男。
「貴族が出張ってくるほど、コドリスは人材不足なのか?」
サルフェイは自嘲気味に笑みを見せた。
「私は、自分の意思でセオール様のお側に仕えておるのだ。スヴィテル家とはすでに関係がない。血脈などで運命が定まるわけではあるまい。私はあの方に初めてお会いしたときから、あの方の為に命を賭してお守りすると決めたのだ」
――戦いに愛された姫に心酔する男。
なるほど、セオールとはよほどの人物らしい。
馬車の明り取りの窓から差し込んできた光に、男の顔が浮かび上がってくる。昨晩松明の灯りに照らし出された男の顔は、恐ろしいまでの頑強で厳しい表情だったが、朝日に照らされた今の表情は、どこか柔和で思慮深さの感じられる顔をしていた。自分よりも幾分か年をとっているのではないかと思わせる。
「……セオール様の侍従、サルフェイ=スヴィテルだ」
アスベリアの記憶に、その名前はあった。コドリス貴族スヴィテル家という冠を背負っている男。
「貴族が出張ってくるほど、コドリスは人材不足なのか?」
サルフェイは自嘲気味に笑みを見せた。
「私は、自分の意思でセオール様のお側に仕えておるのだ。スヴィテル家とはすでに関係がない。血脈などで運命が定まるわけではあるまい。私はあの方に初めてお会いしたときから、あの方の為に命を賭してお守りすると決めたのだ」
――戦いに愛された姫に心酔する男。
なるほど、セオールとはよほどの人物らしい。