ジェフティ 約束
「セオールは、どこにいるんだ」
スヴィテルは短いため息をつくと、懐から取り出した見事な金細工の紋章を見つめた。
「セオール様は陛下のご寵愛を受けておられるが、それが仇となった。王都ベガンダスから最も離れた森と山ばかりの土地に追いやられ、そこに身を寄せておられる。いくら陛下の為と手柄を立てられても、兄上たちに疎まれてみえては、ベガンダスに帰ることもできない」
「……その話しなら聞いたことがある。次代の王座を巡り、暗殺未遂事件が起きたと」
「そうか、ノベリアにも周知か」
アスベリアはコドリスから聞こえてきた、隣国のお家騒動を耳にしたことがあった。コドリス国王バルナバ=ジェスタルは、血脈よりも実績を重んじることで知られ、自分の子供たちにもそれを課していた。セオールは街娘の母から生まれ、本来ならば王位継承権すら得られない身分だった。それを王の腹心だった宰相ネイド=ファルドの後ろ盾を得ることで王宮に上がり、幼少の頃から英才教育を施され、類まれなる才能を発揮した。
「戦いに愛された不遇の姫君」
アスベリアのその言葉にもスヴィテルは苦笑する。
スヴィテルは短いため息をつくと、懐から取り出した見事な金細工の紋章を見つめた。
「セオール様は陛下のご寵愛を受けておられるが、それが仇となった。王都ベガンダスから最も離れた森と山ばかりの土地に追いやられ、そこに身を寄せておられる。いくら陛下の為と手柄を立てられても、兄上たちに疎まれてみえては、ベガンダスに帰ることもできない」
「……その話しなら聞いたことがある。次代の王座を巡り、暗殺未遂事件が起きたと」
「そうか、ノベリアにも周知か」
アスベリアはコドリスから聞こえてきた、隣国のお家騒動を耳にしたことがあった。コドリス国王バルナバ=ジェスタルは、血脈よりも実績を重んじることで知られ、自分の子供たちにもそれを課していた。セオールは街娘の母から生まれ、本来ならば王位継承権すら得られない身分だった。それを王の腹心だった宰相ネイド=ファルドの後ろ盾を得ることで王宮に上がり、幼少の頃から英才教育を施され、類まれなる才能を発揮した。
「戦いに愛された不遇の姫君」
アスベリアのその言葉にもスヴィテルは苦笑する。