ジェフティ 約束
第六章 求める想いの行方
■6-1 届かぬ想い
突如湧き上がった男たちのときの声に、ラルフは身を硬くした。
「なに?」
シェシルはラルフとインサの頭を押さえ、じっと声の聞こえてきた方向を見ている。雨音の間を突き抜けるように響いてくるその声は、シェシルには聞きなれた戦場の狂乱を現していた。そして、ラルフにとってそれは、テルテオ村の襲撃を思い出させる声である。ラルフの身体が自然と沸きあがる恐怖に、どうしようもなく歯ががちがちと音を立てて震えを伝えていた。
「……シェ、シェシル」
ラルフのアズライトブルーの瞳に浮かんだ濃密な恐怖と涙が、シェシルに警告を伝えた。
「なにが起きたの?」
シェシルは黙して起き上がった。腰に下げた長剣の鞘を握り、柄をとめていた皮の帯をはずす。ラルフにとって、シェシルのそのしぐさは危機を感じる予兆だ。シェシルはラルフとインサを交互に見下ろしながら、元来た森のほうへと顎で示す。
「お前たち、もし何かに巻き込まれることがあったら、ばらばらに逃げろよ」
「わかったよ」
「なに?」
シェシルはラルフとインサの頭を押さえ、じっと声の聞こえてきた方向を見ている。雨音の間を突き抜けるように響いてくるその声は、シェシルには聞きなれた戦場の狂乱を現していた。そして、ラルフにとってそれは、テルテオ村の襲撃を思い出させる声である。ラルフの身体が自然と沸きあがる恐怖に、どうしようもなく歯ががちがちと音を立てて震えを伝えていた。
「……シェ、シェシル」
ラルフのアズライトブルーの瞳に浮かんだ濃密な恐怖と涙が、シェシルに警告を伝えた。
「なにが起きたの?」
シェシルは黙して起き上がった。腰に下げた長剣の鞘を握り、柄をとめていた皮の帯をはずす。ラルフにとって、シェシルのそのしぐさは危機を感じる予兆だ。シェシルはラルフとインサを交互に見下ろしながら、元来た森のほうへと顎で示す。
「お前たち、もし何かに巻き込まれることがあったら、ばらばらに逃げろよ」
「わかったよ」