ジェフティ 約束
 ――わかってるよ。自分の身一つ守れない、どうしようもなく子供だってことくらい。だけど、そんなときがいつやってくるのか、それすらわからないじゃないか!
 シェシルにこれからもずっと守ってもらい続けるつもりはない。ジェイを守れる男になりたい。しかし、それがいつ訪れるのかラルフには途方もなく先のようなことに思えて、悔しさに涙が出そうになった。
「お前がわずかな望みを抱くのは理解できる。だけど、どうしてもダメだ。
 オルバーに向かうんだ。国王軍なら、必ず第二都市に入るはず。オルバーで確かな情報を手に入れてから作戦を立てよう。今はできるだけ事を荒立てたくない。分かるだろう?ラドナスでだって、あんなに早く見つからなければ、旅の準備を十分にすることもできた。身を隠しながらでも、サンダバトナに行って、ジェイの情報を得られたかもしれない。
 ……まあ、元はといえば、こいつが原因だったんだがな!」
 シェシルはラルフに諭すように話しながらも、途中から思い出したのか、語尾に怒りを込めながらインサの首を後ろから鷲づかみにして揺さぶった。
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