ジェフティ 約束
「私だって答えはだせないさ。でも、これはお前の思いの全てだろう?
 誰かを守るというのは、言葉にできるほど容易いことじゃない。人一人守ることも大変なことだ。それが自分以外となるとなお更。でも、お前はそれを成し遂げたいと思ってる。ならば、やらなくてはならないことはおのずと見えてくる」
「うん、そうだね。オレ、強くなりたいよ。……シェシルだって守れるくらいに」
 シェシルは笑った。
「生意気いうな」
 しかし、今はそれでいいとシェシルは思いラルフの手を握る。
 ――私はそれまでこうしてお前の手を握っている。
 揺るぎない想いは尊い。ノリスがシェシルに与えてくれた想いも、未だ消えることなく生き続けている。誰かに大切に思われているという支えも、身体を包み込み守り、そして背中を押してくれる。
「あれから、今日で三日だ。明日は多分オルバーにたどり着くはずだ。街に入るときは何か起きるかもしれないから今のうちに少しでも寝ておけよ」
 ラルフは頷くと、ノリスの剣を大切に鞘に納めそれに寄りかかるように身を丸めて、ラルフは目を閉じ、しばしジェフティの笑顔を思い描いた。
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