ジェフティ 約束
 木肌がごつごつとしたまるで荒波を泳ぐ魚の鱗のような針葉樹林を抜けると、急に透き通った風がラルフたちの頬をなでた。目の前には岩場が広がり、森の終わりを告げる。ついにラルフたちはオルバーの周囲を取り囲む森を抜けることができた。
「あれが、オルバー」
 ラルフは目の前にそびえる荘厳な光景に思わず感嘆の声を上げた。
 岩場の向こうには、ここは本当に山の中腹なのかと思わせるほどの大きな湖が広がっている。対岸は遠く靄(もや)に霞み、まるでそのまま空と繋がっているかのようだ。湖面は鏡のように静まり返り波一つ立っていない。湖面の周囲はまるで断崖のように垂直に切り立ち、水がどこから流れ込み、どこへ流れ出ているのかも検討がつかなかった。
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