眠り姫
城の最上階に、ひときわ豪奢な装飾の扉がありました。

ここに姫がいる。

若者は確信しました。

しかし、扉には人間の太ももほどもあるツタが絡みつき、ちょっとやそっとでは開きそうにありません。

立ち尽くす若者の頭上では、相変わらずコウモリが甲高い笑い声を上げています。

「ふん!こんなものがどうしたと言うのだ!」

若者は剣を振り上げます。

イバラは堅く、刃を弾きます。

トゲは振り下ろした腕を掠めて血を滲ませます。

それでも彼は剣を振る事を止めません。

「必ず、助けます。」

剣の刃がこぼれ、柄を握る手に血が滲み、剣も若者もボロボロになった頃

ようやくイバラのツタを取り払い終えました。

ぎぃと扉を開け、若者は部屋に足を踏み入れます。
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