夏雲
 毎月第二土曜と決まっていた。
 凛はお兄さんのことが大好きで、お兄さんに会える前日の彼女の幸せそうな顔を見るのがアタシは好きだった。
 アタシの家の両親は、ユーちゃんシーちゃんと呼び合うくらい夫婦円満で、アタシは何不自由なくこの年まで育つことができたけれど、凛はきっとアタシが想像できないような孤独や不安をまだ幼い頃に抱えていたにちがいなかった。
 凛にはこれ以上つらい思いをさせたくなかった。
 凛はアタシの大切な友達だから、アタシが守ってあげたかった。
 それに、アタシがウリをやめると言えば、美嘉はyoshiにアタシがウリをしていることを話すと脅すにちがいなかった。
 yoshiにだけはどうしても知られたくなかった。
 だからアタシはこのとき、美嘉の気が済むまでウリをしようって決めたんだ。
「ただいま」
 アタシは凛に笑いかけた。
 凛はほっとした様子で胸をなでおろしていた。
「ごめんね」
 と、昼間のように小さくそう言った。
 泣きそうな顔をしていた。
 美嘉とメイはテーブルの上にノートを広げていた。
 メニューのような表がかかれたそれには、料金一覧表とあって、

   ゴムつき1万5千円、
   ゴムナシ外出し1万8千円、
   ゴムナシ中出し3万円、

 と、アタシの値段が書かれていた。
 三人で割りきれる値段だった。
 その横にオプションとあり、

   コスプレ+3千円
   ローション+3千円
   顔射+3千円、
   フェラチオ、はきだす+3千円、
         飲み込む+6千円、
   ハメ撮り+9千円
   アナル+1万2千円
   スカトロ+1万5千円
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