夏雲
 アタシはその表から目をそらした。
 見聞きした知識を羅列しているだけかもしれないけれど、美嘉もメイもまだバージンのくせによくそんなことが思い付くものだとアタシは少し感心した。
 アタシは最初のお客さんにもらった五千円札三枚をテーブルに置いた。
 アタシは何も言わなかった。
 美嘉ともメイとも話したくなかった。
 お金を置くと、美嘉は三枚をメイと凛に一枚ずつわたし、残りの一枚を自分の財布にしまった。
「ここ、凛のおごりでいいよね」
 美嘉はそう言った。
 凛はレシートを手にとって金額を確かめていた。
 四千九百円。
 凛の取り分はたった百円玉一枚だった。
 美嘉とメイは鞄を肩にかけて立ち上がり、
「それじゃ、明日も放課後、ここでね」
 美嘉がそう言い残し、ふたりはアタシたちを置いて店を出た。
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