夏雲
ずぶ濡れのワンピースのままアタシはベッドに寝転がっていた。
アタシの体の形にシーツが濡れていた。
「なんでもない」
アタシはドアに鍵をかけたまま返事をした。
「何か悩んでることがあるなら相談に乗るよ」
普段のアタシだったらきっと、言う通りに悩みを打ち明けただろう。
アタシはこれまで困ったり悩んだりしたときはハーちゃんに頼りきりだった。
だけどウリをさせられてるなんてそんな相談できるわけがなかった。
「なんでもないから」
アタシは安田と話しているときのように、アタシはだいじょうぶ、こんなのすぐに馴れる、小声で何度も呟いて自分に言い聞かせた。
「でも……」
「ほっといてってば」
アタシはドアに枕を投げつけた。
「ごめんね」
ハーちゃんはそう言って、階段を降りていった。
アタシは、謝らなければいけないのはアタシの方だ、と枕を拾いあげながら思った。
そのとき鞄の中のケータイが鳴った。
凛からだった。
凛は何か思い詰めた様子で、
「凛ですけど」
と言ったきり、何も話さなかった。
「アタシ疲れてるんだ。用がないなら切ってもいいかな」
そう言うと、
「あのね、麻衣ちゃん。ナナセくんのケータイの番号わかる?」
凛は慌ててそう聞いてきた。
アタシはナナセのケータイ番号なんて知らなかった。
ただ、
「yoshiに聞けばすぐにわかると思うけど」
そう答えた。
「でも、ナナセのケータイ番号なんて知ってどうするの?」
アタシが聞くと、凛は黙ってしまった。
「いいよ。聞いておいてあげる。後でメールすればいいよね」
アタシは早く電話を切りたかった。
アタシの体の形にシーツが濡れていた。
「なんでもない」
アタシはドアに鍵をかけたまま返事をした。
「何か悩んでることがあるなら相談に乗るよ」
普段のアタシだったらきっと、言う通りに悩みを打ち明けただろう。
アタシはこれまで困ったり悩んだりしたときはハーちゃんに頼りきりだった。
だけどウリをさせられてるなんてそんな相談できるわけがなかった。
「なんでもないから」
アタシは安田と話しているときのように、アタシはだいじょうぶ、こんなのすぐに馴れる、小声で何度も呟いて自分に言い聞かせた。
「でも……」
「ほっといてってば」
アタシはドアに枕を投げつけた。
「ごめんね」
ハーちゃんはそう言って、階段を降りていった。
アタシは、謝らなければいけないのはアタシの方だ、と枕を拾いあげながら思った。
そのとき鞄の中のケータイが鳴った。
凛からだった。
凛は何か思い詰めた様子で、
「凛ですけど」
と言ったきり、何も話さなかった。
「アタシ疲れてるんだ。用がないなら切ってもいいかな」
そう言うと、
「あのね、麻衣ちゃん。ナナセくんのケータイの番号わかる?」
凛は慌ててそう聞いてきた。
アタシはナナセのケータイ番号なんて知らなかった。
ただ、
「yoshiに聞けばすぐにわかると思うけど」
そう答えた。
「でも、ナナセのケータイ番号なんて知ってどうするの?」
アタシが聞くと、凛は黙ってしまった。
「いいよ。聞いておいてあげる。後でメールすればいいよね」
アタシは早く電話を切りたかった。