夏雲
アタシは恥ずかしさをぐっとこらえることにした。
「三名様でお待ちの山汐様ー」
そして、いよいよというか、ようやくというか、アタシのメイドカフェデビューの瞬間が訪れた。別に念願のでもなかったから、嬉しくもなんともなかったけれど。
「いらっしゃいませ。ご主人様。お嬢様」
アタシたちはメイドさんに案内されて席についた。
店内はとても落ち着いた雰囲気だった。
テレビでよく見る秋葉原のメイドカフェとは若干お店の雰囲気が違うお店のようだった。
サラリーマン風のご主人様が、胸ポケットに入れたスカーフを「素敵です、ご主人様」メイドさんに誉められていた。
就職活動帰りのお嬢様が、「もういやんなっちゃうわ。全然内定もらえないし」メイドさんに愚痴をこぼしていた。
学生風のご主人様が参考書とノートと電卓をテーブルに広げて、ひたすら勉強をしていた。
がむしゃらに小説を読んでいるご主人様もいた。
それはメイドカフェでは当たり前の光景なのかもしれないけれど、アタシにはなんだかとても異様なものに見えた。
アタシたちはメイドさんからメニューを受け取った。
凛やツムギはメイドさんと楽しげに会話を交わしてた。
「ご注文がお決まりになられましたら、こちらの鈴をお鳴らしください」
アタシは和風チキンサンドとアイスコーヒー、凛はストロベリーティーとチョコバナナサンド、ツムギはオムライスとアイスコーヒーを頼むことにした。
アタシはメニューのデザートの欄にあった、フレンチメルヘン、島唄、というふたつのデザートの名前に目を奪われていた。
「まったく想像がつかないね…」
アタシがそう言うと、
「うん、頼んでみようか…」
凛がそう言って、頼んでみることにした。
「これ、わたしが鳴らしてもいい?」
凛が鈴に手を伸ばした。凛はなんだかとても楽しそうだった。
チリンチリン、と音を鳴らすと、メイドさんはすぐに駆けつけてくれた。
アタシたちが一通り注文すると、
「こ、こんなにたくさん。ありがとうございます!」
なぜかメイドさんに感謝された。
「三名様でお待ちの山汐様ー」
そして、いよいよというか、ようやくというか、アタシのメイドカフェデビューの瞬間が訪れた。別に念願のでもなかったから、嬉しくもなんともなかったけれど。
「いらっしゃいませ。ご主人様。お嬢様」
アタシたちはメイドさんに案内されて席についた。
店内はとても落ち着いた雰囲気だった。
テレビでよく見る秋葉原のメイドカフェとは若干お店の雰囲気が違うお店のようだった。
サラリーマン風のご主人様が、胸ポケットに入れたスカーフを「素敵です、ご主人様」メイドさんに誉められていた。
就職活動帰りのお嬢様が、「もういやんなっちゃうわ。全然内定もらえないし」メイドさんに愚痴をこぼしていた。
学生風のご主人様が参考書とノートと電卓をテーブルに広げて、ひたすら勉強をしていた。
がむしゃらに小説を読んでいるご主人様もいた。
それはメイドカフェでは当たり前の光景なのかもしれないけれど、アタシにはなんだかとても異様なものに見えた。
アタシたちはメイドさんからメニューを受け取った。
凛やツムギはメイドさんと楽しげに会話を交わしてた。
「ご注文がお決まりになられましたら、こちらの鈴をお鳴らしください」
アタシは和風チキンサンドとアイスコーヒー、凛はストロベリーティーとチョコバナナサンド、ツムギはオムライスとアイスコーヒーを頼むことにした。
アタシはメニューのデザートの欄にあった、フレンチメルヘン、島唄、というふたつのデザートの名前に目を奪われていた。
「まったく想像がつかないね…」
アタシがそう言うと、
「うん、頼んでみようか…」
凛がそう言って、頼んでみることにした。
「これ、わたしが鳴らしてもいい?」
凛が鈴に手を伸ばした。凛はなんだかとても楽しそうだった。
チリンチリン、と音を鳴らすと、メイドさんはすぐに駆けつけてくれた。
アタシたちが一通り注文すると、
「こ、こんなにたくさん。ありがとうございます!」
なぜかメイドさんに感謝された。