夏雲
「うちのリバウンド王」
と、yoshiはアタシにナナセを紹介した。
ナナセはyoshiよりもずっと背の高い男の子だった。
「でかいだろ。一九〇センチもあるんだ」
一八〇センチのyoshiの顔を見上げるだけで首が痛くなったりするのに、それよりも十センチも高い場所にナナセの顔はあった。
アタシは、どんな高い場所を飛んでいるボールも彼は捕まえてしまうだろうと思った。
小麦色に焼けたyoshiとは対照的に、ナナセはとても色が白かった。
「バスケだけじゃなくて勉強もできるんだぜ。期末試験、学年で十位以内だったもんな」
yoshiはナナセとよほど仲がいいのか、いつも無口なくせにまるで自分のことのように彼のことを自慢した。
ナナセは長い前髪のせいで口元しか表情はわからなかったから、yoshiの紹介に照れているのだと気付くのにアタシは随分かかった。
「美嘉ちゃんとは同中だったんだって。中学んときから好きだったんだよな」
yoshiにそう訊かれてナナセは首を何度も縦に振った。
yoshiはアタシのことを麻衣、アタシの友達のことを苗字ではなく下の名前を「ちゃん」付けで呼ぶようになっていた。
付き合い始めたばかりの頃は、アタシの名前を呼ぶのも「さん」付けで、恥ずかしそうにしていたのに、成長したなって思う。
ナナセは手でVサインを作ると、
「中二から好きだった」
と言った。
「告白しなかったの?」
今度はアタシが尋ねると、ナナセはまた首を何度も縦に振った。
「美嘉には噂になってた男がいたから」
そう言った。
アタシは美嘉から中学時代の話をあまり聞いたことがなかったけれど、中学生なんてそんなものだ。
早い子は中学生のうちにバージンを捨ててしまうけれど、ほとんどの女の子は誰と誰が付き合ってるとかどこまでしたのかとか、そんな噂話をして三年間を過ごしてしまう。
「告白すればよかったのに」
アタシがそう言うと、ナナセはぶんぶんと首を大きく横に振った。
「そんなこと、できない」
彼もyoshiと同じでとてもシャイな男の子なのだ。
と、yoshiはアタシにナナセを紹介した。
ナナセはyoshiよりもずっと背の高い男の子だった。
「でかいだろ。一九〇センチもあるんだ」
一八〇センチのyoshiの顔を見上げるだけで首が痛くなったりするのに、それよりも十センチも高い場所にナナセの顔はあった。
アタシは、どんな高い場所を飛んでいるボールも彼は捕まえてしまうだろうと思った。
小麦色に焼けたyoshiとは対照的に、ナナセはとても色が白かった。
「バスケだけじゃなくて勉強もできるんだぜ。期末試験、学年で十位以内だったもんな」
yoshiはナナセとよほど仲がいいのか、いつも無口なくせにまるで自分のことのように彼のことを自慢した。
ナナセは長い前髪のせいで口元しか表情はわからなかったから、yoshiの紹介に照れているのだと気付くのにアタシは随分かかった。
「美嘉ちゃんとは同中だったんだって。中学んときから好きだったんだよな」
yoshiにそう訊かれてナナセは首を何度も縦に振った。
yoshiはアタシのことを麻衣、アタシの友達のことを苗字ではなく下の名前を「ちゃん」付けで呼ぶようになっていた。
付き合い始めたばかりの頃は、アタシの名前を呼ぶのも「さん」付けで、恥ずかしそうにしていたのに、成長したなって思う。
ナナセは手でVサインを作ると、
「中二から好きだった」
と言った。
「告白しなかったの?」
今度はアタシが尋ねると、ナナセはまた首を何度も縦に振った。
「美嘉には噂になってた男がいたから」
そう言った。
アタシは美嘉から中学時代の話をあまり聞いたことがなかったけれど、中学生なんてそんなものだ。
早い子は中学生のうちにバージンを捨ててしまうけれど、ほとんどの女の子は誰と誰が付き合ってるとかどこまでしたのかとか、そんな噂話をして三年間を過ごしてしまう。
「告白すればよかったのに」
アタシがそう言うと、ナナセはぶんぶんと首を大きく横に振った。
「そんなこと、できない」
彼もyoshiと同じでとてもシャイな男の子なのだ。