もう恋なんてしない
その後、お母様特製のデザートをいただき、足早に次の場所へ移る事に。
帰る間際にお父様とも顔を合わせることが出来た。
職人気質だけれど、笑うと暖かい雰囲気になる素敵な紳士だった。

これから行くお店に駐車スペースが無いから、とタクシーを呼んだ流星さん。
白のメルセデスはご実家に置いておくみたい。
そして、今・・・隣同士でタクシーに座っています。

「あの・・・もう一つ訊いてもいいですか?」

「何でも訊いて? 答えられる限り全て答えるから」

そんな満面の笑みで答えないで下さいっ!!


「さっき、リカさんが・・・
ずっとミカって言っていたのは・・・?」

「ああ、それか・・・。
僕の本名は、早川・ミヒャエル・流星って云うんだ。
ミドルネームがミヒャエル。
ミヒャエルはドイツの名前で、大天使ミカエルを意味するんだ。
ミカエルだからミカ。
自分の名前と似てるからって、リカは僕をミカって呼ぶようになった。
リカにミカ、兄弟みたいだろ?
彼女の影響で、未だに僕を『ミカ』って呼ぶヤツもいるよ。
女の子の名前みたいで、本当はイヤなんだけど・・・」


ミカって・・・
流星さんの愛称だったんだ。

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