もう恋なんてしない
家に着くまで、とうとう彼女は一言も話さなかった。


「お家の人に…説明させて貰う」

そう言った僕の言葉に、目を見開く瑠璃ちゃん。


「お願いです…この事は親には黙ってて下さい!
流星さんのおかげで私は無事でしたし、もう大丈夫ですから。

正直…これ以上、親には心配を掛けたくないんです。
破談になった時に、それはもう随分と心配させてしまったから。

今日の事なんて、全然平気です。
護ってくれた流星さんには、本当に感謝しています。
ありがとうございました!」

ふと見た彼女の左頬が少し赤くなっている事に気付いた。

「ここ…どうした?
ぶたれたのか?」

更に見開かれる目。
疑いようもなく、それは事実を示していて。

「誰に? 誰にぶたれた?
まさか・・・リカ?」

盛大に首を横に振るのは否定?

ぶった相手はリカじゃない。
だけど、ぶたれた事に違いはないんだろう。

誰が?
一体どうして?

もしかして、さっきの男達が殴ったのか?

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