もう恋なんてしない
緋笙流に逃げて、毎日を忙しく過ごした。
流星さんを忘れるのに必死だった。

だけど・・・
毎日を緋笙流で過ごすうち、新たな問題にぶつかった。

自分がどんな風に見られているのか、気付いてしまった。


この年齢で、幹部指導者の一人に選ばれるという事に、周りは納得していなかったようだ。

家元の息子と結婚するはずだった自分。

それがなくなった事に負い目を感じた家元が、憐れんで私を抜擢した…とか。
もしくは私が家元に言い募り、幹部に選ぶ様に仕向けた…とか。
挙句の果てには、私が家元の愛人だからなのでは…など。

噂の好きな人達は言いたい放題だ。


厳しい視線に晒されても、やるべき事は次々あって…。
忙殺されながらも、必死にこなした。

だけど・・・
どんなに自分を追い込んでも、二人の噂が頭から離れる事はなかった。

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