もう恋なんてしない
まるで逃げるようにマンションを飛び出した。

ここって何処?

場所も方角も全く分からなくて
世界から見放された気分になった。

私はひとりぼっち。

誰も私を気にしないし、誰も私に気付かない。


少し歩くと大通りに出た。

夏の朝は清々しいけれど、私の心はどこまでも重たくて。
それでも、ここに立ち止まる訳にもいかなくて。

諦めるのは慣れてる。
ちっちゃい頃から慣れっこだ。

手の届かない人に手を伸ばしただけ。
届いた気がしたのは、全部 私の錯覚。

夢は覚めたのだから。

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