もう恋なんてしない
流星さんはその時の事を思い返すように話し始めた。

「僕がその女性と付き合う事になったのは、確かに史也が言い出したからかもしれない。
だけど、それは…あくまでもキッカケでしかないんだ。

中高一貫の男子校で、女の子と出会うなんて殆ど無かった。
それに、僕は史也と一緒にいられれば十分だったんだ。
アイツは昔からあの調子で遠慮はないし、思った事はズバズバ言うし…一緒にいて面白かったよ。
でも、ある日言われたんだよ、史也に。

『このままじゃ変な噂が立つから、お前はサッサと彼女を作れ』ってね。
『それなら、史也も作れよ!』って僕も言ったんだけど…。
『俺様のお眼鏡に適う女が、この辺にいるのか!?』ってキレられてね(笑)
結局、あんまり勧めるものだから…付き合う事にしたんだよ。

史也とのやり取りは、そんな感じだったかな。

僕には好きな女性がいなかったから、思い付きで『最初に告白して来た人と付き合う』って決めた。
そんな経緯で交際が始まったんだ。

だから、史也に責任はないよ。
キッカケは貰ったけど、全ては見る目が無かった僕の責任だから」

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