もう恋なんてしない
「じゃあ、兄さんはその人とは面識が無かったんですか?」

「無い無い。向こうは年上の女子大生だったし…何の接点も無かったよ。
むしろ、デート中に出くわして…翌朝、学校で『あの女はヤメておけ。お前にメリットは何一つ無いぞ』って諭されたぐらい(笑)

アイツ、本当に鋭いんだよなー、そういうトコ。
実際、1ヶ月程して、最悪の結果になったしね。
ますます史也を信用するようになったよ(笑)」

辛い過去のはずなのに、笑いながら話せるなんて・・・。

「その後付き合ったのも、碌でもない女性が多かったな…。極め付けもいたし!」

「極め付け??」

「僕をアクセサリー扱いするって話は、前にしたろ?
そんなタイプの人が多くてね。それだって酷い扱いだとは思ったけどね。

極め付けの相手は、結婚してるのを隠して僕に近付いて来たんだ。
そんなの…有り得ないだろ??
騙されたんだって分かった時の衝撃は、忘れられないよ。
それ以来、『女の人は信じない』『恋はしない』って決めたから。

どんだけ女運が悪いんだ?って笑っちゃうだろ??」

いえいえ、とても笑える問題じゃないと思います!

「でもね、瑠璃ちゃん。
今なら笑って許せるんだ。
全ては瑠璃ちゃんと出会う為の回り道だった、って」

そ、それって…?

「結構、酷い事をされた自覚はある。
“もう恋なんてしない”って、ずっと思ってたから。
でも、そんな事すら気にならないぐらい今はハッピーな気分なんだ。

とにかく・・・僕には瑠璃ちゃんしかいないって事!」

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