もう恋なんてしない
大株主って事は流星さんの会社にとって大事な人。
重要な人物だよね?

前もって約束をしていないのは問題だけれど、そんな大事な人を蹴って私と食事だなんて・・・有り得ない。

「あの・・・」

??

きょとんと私を見る流星さんと柏木さん。

「お食事でしたら、また今度でも。
私は大抵ヒマですし、お仕事の方が大事ですから」

平静を装って、言ったよ?
なのに

「イヤだよ、瑠璃ちゃん」

予想外な流星さんの言葉。

「でも・・・大事な方だと思いますし」

「この前もドタキャンしたんだ。
勝手な人間に、大事な時間を割かれたくないよ・・・」

「そんな風に流星さんに言っていただけて・・・それだけで私は充分ですから。
大事なお話みたいですし、また今度。機会があれば、で」

沈黙が続く。

「流星・・・。
せっかく瑠璃さんがこう言って下さるんだ。
今日はお言葉に甘えよう?」

「・・・・・・」

流星さんは黙ったままだった。

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