もう恋なんてしない
「着いたよ」

わざわざ運転席から降りて、助手席のドアを開けてくれる流星さん。
差し延べられた手に困ってしまう・・・!

こういう事に慣れてないんですっ!!

きっと全身真っ赤だと思う。


重厚なドアの先には・・・落ち着いた色の灯り。

「いらっしゃいませ」

澄んだ枡花色の瞳が私を捉える。

「ただいま、母さん」

「おかえり、流星。
そして、こちらのお嬢さんは…初めまして、よね?」


流星さんのお母さん!?





*******

枡花色(ますはないろ)…灰色がかった薄い青色

< 94 / 369 >

この作品をシェア

pagetop