私が好きになった男は私が嫌いなヤンキーでした。
「あっ、奈留美お前!お袋に2人で行けって言われたのに、先に1人で行きやがったな!!」
あれがナルの兄?
やっぱり兄弟だな…。
普通に格好いいじゃん。
由梨亜が好きそうなタイプじゃん。
「あっ、さっきの女の子だ!同じクラスだったんだ」
「あっ、はぁ…」
「賢矢!アンタ由梨亜に手出しだの!?」
ナルの兄は、『賢矢』と言うらしい。
「ちげー!さっき溜まってたら、たまたまこの子が来たの!!」
賢矢(←すでに呼び捨て)は、かなり声がデカくって五月蠅い。
「賢矢声デカい。ボリューム下げろ、馬鹿」
「んだと!」
「だから、うるせー。コイツもそんな顔してるぞ」
えっ…。
そう言ってあたしを指差した。
…どうやらあたしは、さっきから顔に出していたらしい。
「あっ、ごめんね!」
「いや…」
…別に、謝って欲しかったわけじゃないし。
「ソイツには謝って、俺には謝んねーのかよ」
どうやら、コイツは違ったらしい。
「はん。誰がお前に謝るか!さて、俺の席はどこかね?」
賢矢は由梨亜に性格が似ているらしい。
だから五月蠅いわけだ。
「賢矢ついでに俺のも」
「あっ、じゃあ俺も」
「俺も!」
「俺も!」
「…お前ら、自分らで探せ!」
「…チッ。お前、うるせーって言ってんだろーが」
「……」
どうやら、コイツは苛ついているらしい。
「……」
何か睨まれてる?
「…あの」
「お前、さっきから失礼なこと考えてただろう」
バレていたらしい。
「…いや……」
「千里~、お前窓側から2列目の一番後ろ」
げっ…
隣がコイツ!?
ふざけてる…。
「隣、誰?」
「えっと、…?えっと…女!」
「だから、ソイツが誰だよ…」
「…名字が読めない」
「馬鹿が!!」
どうやら、賢矢は馬鹿らしい。
てか、人の名前読めないとか失礼すぎ!
「下の名前は?」
千里というらしいコイツはかなり呆れている。
「んとね、…あっ、『アカネ』だって」
「ふ~ん」
「名前からして、可愛い子なんだろうな!」
期待を裏切るようで悪いが、全くもって可愛くない。
「なあ、お前まさか…」
何?