ロ包 ロ孝 2
「でもみんな。なんかあまりにも手応え無くない?」

 ここがセンターコア・モノリスだとしたら、国連軍全ての中枢を司る機械だ。その警備だと思うと余りにも不甲斐ないではないか。

「エレベーター呼んだ方が、歩かなくて楽だったんじゃないですかぁぁ?」

 果てが見えない深淵を覗き込み、膝痛持ちの山路が言う。

「さすがにそれはな、無いでしょう」


───────


 長い階段を降り切った彼らは、施設の最深部に到達した。

「ここまで何も無いと、只のハイキングだわね」

「でもぉ、もう膝がガクガクですよぉ」

 弱音を吐く山路を叱咤する野木村。

「デブジはもう少しダイエットが必要ね!」

 そこには最下階に止まった斜行エレベーターの巨大な箱が鎮座している。

「こりゃち、ちょっとしたきょ、教室位の大きさは有りますね」

 大沢はそう言うと、静音インパクトレンチを手にハシゴを登った。

  ヴ ヴ シュンッ ヴ シュンッ

 天井の点検口を留めてあるボルトを次々に外すと、ふたは簡単に開いた。

「中にはだ、誰も居ないし、人の気配もま、全く有りません」

 頭を突っ込んで中を見回した彼はそう言うと、縄ばしごをエレベーター内に降ろす。

「ここにもカメラはな、無いもんな」

 彼はスルスルとはしごを降りて行った。

「重量センサーかも知れないわ? 待ちなさいっ」

「ナナジュウゴキロ」「し、しまった!」

 時既に遅く、機械音声のアナウンスが鳴り響く。大沢は床に降り立っていた。

「やっぱり! まずいわよ!」

 野木村達は銃を構え、色めき立った。しかし侵入者を感知したという警報もサイレンも稼働しない。

「…………何も、変化無しだ」

「警報は鳴らないのか?」

「ここはぁコンピューターの中だ。警備も殆どがロボットの筈だぁ。だから多分、警報は要らないんだよぉ」

 しかしまだメインコンピューターのCPUに侵入するという目的を果たしていない。

「警備ロボットに注意して突入するわよ?」

「了解!」


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