ロ包 ロ孝 2
 落ち方が悪かったのか、腰を押さえながら悶絶している三郎。

「ごめんなさい。良く言って聞かせてヤルから勘弁しろ」

「お前なぁ、それでも謝ってるつもりか?」

 三郎がそう言い終わらない内に、後ろに控えていた雷児は何かを呟いた。

「はぉっ!」「ゲホォッ!」「ふんぬっ!」「ぐっ」「ゴハッ」

 放たれた【皆】は、ボディーガード達のみぞおちへ寸分たがわずに食い込む。

「うっげぇぇぇえ」

 思いもよらない衝撃を突然喰らった彼らは皆、腹を抱えてうずくまった。気付くと彼らは全部で5人も居て、同僚の危機を感じていつの間にか集結していたのだ。

「お前ら、俺様を誰だと思ってやがる。ティーファミリーの雷児様たぁ俺の事よ。命が惜しけりゃとっとと失せな!」

 大見得を切ってそう凄んだが、勿論ボディーガード達には通用しない。彼らはよろよろと立ち上がり、スーツから取り出した伸縮警棒を伸ばして殴り掛かってきた。

「ダメ! やめないかお前達! お爺ちゃんに轢きコロスぞ!」

 動転したカンが訳の解らない事を口走った時にはもう遅かった。

「グエッ!」「ぎゃっ」「はぐっ」「ゴフッ」「おわっ!」

 雷児からの反撃を受けたボディーガード達は地面に倒れ込み、ぴくりとも動かなくなった。

「折角逃げるチャンスを作ってやったのに、こいつらもアホだな」

 砂地に転がった濃紺のスーツ達を見て、カンはあわてふためいた。

「どうしよ、どうしよ、どうしよ。あなたこの男共殺しやがったですかっ!」

 雷児に縋り付き、マントを引っ張り、胸板を叩いて泣きそうになりながら責め立てる。しかし彼はうっすらと笑み迄浮かべ、吐き捨てるように言った。

「へっ大丈夫だよ。こいつらそんなヤワじゃねぇ。これ位で死ぬようなら、あんたの事も守れねぇガラクタさ」

  ピピッ

 するとボディーガード達がはめている時計から電子音がした。彼らはまたむくむくと起き上がって雷児を睨み付ける。

「ほらな?」

 時計に仕込まれた気付け薬が、活動を止めた持ち主を察知して注入されたのだ。彼らボディーガードは、自分の命が尽きるまで依頼主を守り続けねばならない。

「やめて! お爺ちゃんに言ってあなた達ファイヤーよ?」


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