ロ包 ロ孝 2
「うん。今俺達ファミリーは色んな敵から狙われててな。
 最近は墨刀っていう対抗勢力が出て来たのも有って、少しばかり旗色が悪いんだ」

 赤いくるくるの髪をグシャグシャと掻きむしりながらアイスコーヒーを飲み干した。

「大変ね、ジェイ。でも違うのジェイ、女の子達らしくなったよ?」

 キッとカンを睨むが、すぐやるせなさげに頬杖を付き呟く。

「最近ボスにもみんなにも言われんだよ、それ。俺にはこんなモン要らねぇんだけどさ」

 胸を張り、マントの上から自分の乳房を鷲掴みにして揺するとまた、切なそうに溜め息を吐く。

「オパイだっけ? そこだけ違うよジェイ。女の子達らしいのは全部よ。動きからなんからかんかららんらららんらら」

「おっぱいだよ。それに『ラン』は要らない」

 カンは照れ隠しに頭を掻いた。ジェイは更に続けた。

「そればかりか、ボスは俺に足抜けしろってうるせえんだよ。ヘマした訳でもねぇのによぉ」

「ワシむけ? カン知らない」

「ううん……なんだ。引退だよ」

 カンはパッと顔を輝かせると自慢気に言った。

「我慢でしょそれ、勉強したし」

「違うよ、忍耐じゃない! う〜ん。英語で言えばリタイアだ」

「おう、リタイアね。ジェイ可愛いから、ボスも心配なんだろ。違うか?」

 ジェイは呆れ顔でそっぽを向く。

「可愛いだって? この俺がか? 冗談はやめてくれ!」

 ジェイは不快感をあからさまに眉間のシワに刻んで吐き捨てた。

「可愛いってのはお前みたいな女の事を言うんだろう?
 色も白いし、俺から見ても旨そうに見えるもんな!」

「でもジェイ、カンはそっちのケ、無いよ?」

「アホ! でも、引退なんかしたら……ハァァァァッ」

 深い溜め息をまた吐いて、ジェイは机に突っ伏した。

「そんな事したらボスに恩返し出来なくなるし……ファミリーを出たら俺は……俺はひとりきりになっちまう」

 寂しそうに嘆息を吐くジェイを見ながら考えていたカンは言った。

「暇か? ジェイ。お爺ちゃんち泊まり来ない?」


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