ロ包 ロ孝 2
「ああ、お爺さんも使えるんですね?」

『はい、軍に居る時に。
 孫を救って頂いて、本当に有り難うございました』

「いいえ、こちらこそ。お世話になります」

 ジェイと陳老人はカンの預かり知らぬ所で互いに信頼を高め合っていた。

「まずは順子、お風呂入ろう。汚ないね」

「俺は順子じゃ……」

「順子だろ。カンと爺ちゃんとダレブの秘密ねっ!」

 カンの視線に促された先には、ダレブがにこやかに立っていた。

「はい、順子さん。入浴の前に頭さ洗んにゃーばイケんです」

 バスルームの前室には美容室のようなシャンプー台迄置いてある。

「ここさあおんけなってぬ転がってくんしゃい」

 もう何を言っているのか、既にニュアンスしか解らない。

「ちょ、待っ、あっとっと……」


「きだなかった女ん子が、風呂さ上がったら別嬪(ベッピン)さんでキンラキラってぇのは、読んででいつばん萌えぇえってなるとっ!」

  ガシュッ ガシュッ

 有無を言わさずシャンプーを振り掛けられ、汚ない頭を力任せにこすられるジェイ。

「う、うゎ、ぅわぁぁぁぁぁっ!」


───────


「ほれ、一丁上がりばい」

 そこに現れた、まだホカホカと湯気が立っていそうな美少女は、紛れもなくジェイだった。

 彼女は大きな姿見にその姿を写して、2回3回と回っている。

「私ぃ……こんなんなっちゃってぇ……嬉しいですぅぅ」

 毛先を手のひらに取ってポンポンと遊ばせたり、前髪を引っ張ってみたりしていたジェイは、後ろでチョロチョロ動き回っていたカンに言った。

「おいカン! 俺が喋ってるみたいにするのはヤメロ。
 語尾伸ばしで喋るなんて、女だった時もしていない!」

 口では厳しく叱咤するジェイだが、それでも見た限りはかなり嬉しそうだ。

「でも順子、ニッコニコよ? そだ、一緒にパフェ食べ行こう!」

「馬鹿! そんな誰に見られるかも解らないのにっ!」

 前回カンが地球に来た時、ジェイは半ば強引にパフェを食べさせられていた。

「心配無いでーす! ここには喫茶店だってライヴハウスだって、遊園地だって有りマース!」


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